Story

Case 09

開館から3年を越え、中之島の新たな文化的ランドマークとなった「大阪中之島美術館」。朝日ビルディングは子会社として(株)大阪中之島ミュージアムを設立し、この美術館の運営を受託しています。25年4月には展覧会来館者数・累計200万人を達成し、さらなる変化のときを迎えています。運営を支える社員の思いとは。

日々のくらしを照らす、
未来にひらかれた美術館へ

Yokoyama Shota

横山 翔太

大阪中之島ミュージアム出向
事業課 主任
2013年入社

ひととアートをつなぎ、暮らしに彩りをそえる

これまでどんな仕事をされてきましたか?

朝日ビルディングに入社してからはフェスティバルホールの運営を担当し、2023年9月に(株)大阪中之島ミュージアムに出向しました。どちらも“芸術を支える仕事”ですが、舞台から美術へと関わる分野が広がり、これまでにないやりがいを感じていますね。

現在は、どのような業務を担当されていますか?

事業課に所属し、運営チームの一員として主に2つの業務を担当しています。ひとつは、展覧会の運営を担い、各イベントの準備をはじめ、現場での立ち会い、来館されるお客様からのご意見やご要望に対応する業務です。展覧会やイベントの企画自体は、学芸員や共催のメディアが立ち上げるため、そのイベントが円滑に進むよう、会場の使い方や照明の調整、当日のオペレーションなどが主になります。
もうひとつの業務が、ユニークベニューと呼ばれる美術館のホールや多目的スペースの貸出業務です。企業のレセプションや説明会、ブランドの展示販売など、さまざまな目的で利用していただいています。

ひとり一人の喜びの声が美術館を育て、仕事の糧になっていく

美術館運営の魅力は何でしょうか?

いちばんの魅力は、お客様と接する機会が多いことです。展覧会を見終えた方から「とても良かった」といった声をいただけると、喜びもひときわ大きく励みになります。

では、これまでに好評を得たユニークベニューをお聞かせください。

色々な企画が好評を得ましたが、特にこれまでと雰囲気が異なる有名ブランドのファッションショーが印象に強く残っています。美術館のパッサージュ(ロビー)をランウェイに見立てるなどの演出があり、これだけ華やかな場に立ち会えたことが大きな喜びになりました。多くのお客様にも喜んでいただき、運営として新しい美術館の魅力を発信できたと手応えを感じられましたね。
また、テレビ放送やSNSがきっかけで数多くのお客様が来られた企画やイベントも忘れられません。

大規模展を支える、確かな成長に挑み続けたい

開館から3年が経ち、大きく変化したと感じる点は?

開館当初は、美術館運営の前例がなかったことから試行錯誤を重ねながらより良い美術館をめざしてきました。混雑が想定される展覧会では日時指定制を導入したり、入場する人数を調整するなど、さまざまな工夫を取り入れることで、徐々に洗練されてきたと感じています。経営面でも、初年度から黒字経営を継続し、テナントも満室を維持しています。展覧会も好調で、約40万人を動員した「モネ 連作の情景」は開館以来、当館を代表する展覧会となりました。
また、光栄なことに、「美術館ヒット大賞」や「大阪活力グランプリ2022」など、数々の栄誉ある賞をいただくことができました。

展覧会以外での取り組みは?

さまざまな専門機関と連携して、子どもから大人まで幅広い世代が参加できるラーニングプログラムを展開し、想像力を高めることができる学びの場を広げています。さらに、芝生広場でのマルシェや、地域・企業と連動したイベントも開催するなど、多くの人々に親しまれる企画にも取り組んでいます。

より多くのひとが訪れる、ひらかれた美術館へ歩みを進める

最後に、将来に向けて達成したいことをお聞かせください。

私個人としては、運営の専門性をさらに高めていきたいと思っています。展覧会の準備から当日の対応まで、確かな経験を積み重ね、より効率的な運営を実現し、どのような企画にも柔軟に対応できる力を養いたいと考えています。その上で、この美術館が、誰もが気軽に立ち寄り、アートを身近に感じられる存在になってほしいと願っています。展覧会だけでなく、学びや交流の場として地域の暮らしに根付き、世代を超えて人々が集まる拠点へと成長していけるように、運営の立場からその実現を支えていきたいですね。